心臓の検査
心電図検査
検査値の判定
異常なし 基準範囲 45~85回/分
要再検査・要生活習慣改善 40~44回/分 86~100回/分
要精密検査・要治療 39回以下/分 101回以上/分
どんな検査
両手と両足、前胸部に電極を付け、心臓を流れる電気信号の状態をみて、心臓疾患の疑いを早期に発見する検査です。
心電図の波形の異常から、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心筋症、不整脈など多くの心臓病の兆候や疑いを発見できます。
異常がみられたら
心電図に異常がみられたら、循環器科を受診し、精密検査を受けましょう。
心電図からわかる心臓の病気
病気 | 症状 |
---|---|
狭心症 | 心臓の筋肉に血液を送り込む血管の内部が動脈硬化で狭くなり、血液不足になって胸痛発作を起こす。 |
心筋梗塞 | 心臓の血管の内部に血液の固まり(血栓)が詰まり、血流が途絶えて心臓の筋肉が壊死を起こす。 |
心肥大 | 心臓の筋肉が厚くなり、心臓の収縮力が低下し、息切れ、全身倦怠感などの心不全症状が現れます。 |
心筋障害 | 高血圧や血流不足により、動悸、息切れ、呼吸困難、体のむくみなどがあります。 |
不整脈 | 心臓の拍動に問題があり、脈の速さやリズムが乱れた状態になる。 疲労感や息苦しさ、めまい、ふらつきを生じることがあります。重症の場合、失神や突然死をきたすことがあります。 |
安静時心電図検査
横になって、両方の手首・足首と胸に6つの電極を付けて調べます。
緊張をしていると正確な心電図が取れないので、力を抜き、リラックスした状態で測定することが大事です。
検査時間は数分程度と短く、体への負担もほとんどありません。
ホルター心電図検査
24時間小型の心電図記録装置を腰に付け、胸に5つの電極を貼り、いつも通りの生活を送ります。
不整脈や狭心症の発作時の心電図を捉える事ができ、診断に役立ちます。
症状が起こった時は、ボタンを押して記録し、行動記録も付けます。
行動記録と心電図記録装置のデータから心臓の状態、治療の効果などを総合的に見ることができます。
運動負荷心電図検査
どんな検査
運動時負荷心電図検査では、心電図検査を行いながら運動をしてもらい、日常生活の中であらわれる胸痛・動悸・息切れなどの症状を再現します。
その時の心電図の波形の変化や血圧の変化をみて、運動中の心臓の状態を調べます。わざと心臓に負担をかけて、心電図の波形を調べるのです。
検査には、ウォーキングマシンを使った「トレッドミル法」自転車のペダルを使った「エルゴメーター法」2段の踏み台を使った「マスター法」があります。
年齢や性別、病気の程度によって運動の負荷を調整します。発作を誘発する危険があるため、医師の立会いの下で行なわれます。
心エコー検査
どんな検査
エコー検査(超音波検査)は、身体にプローブ(発信機)を当て、超音波を体内に向けて発します。
超音波が臓器に当たってはね返ってくる反射(エコー)を画像に映し出す検査です。
心エコー検査(心臓超音波検査)では、心臓の大きさ、動き、心臓の筋肉や弁の状態、血液の流れなどを観察できます。
検査でわかること
心筋梗塞の場合、心エコー検査では梗塞を起こしてる部位、その広さ、状態などが短時間で調べられます。
心筋梗塞以外にも、心肥大、高血圧による心臓病、心臓弁膜症、心膜炎などの病気の診断にも有効です。
体への負担
心エコー検査で使用する超音波は人体に悪影響を与えることはないため、妊娠中でも行なえ、ペースメーカーの誤作動を招くこともありません。
冠動脈CT検査
どんな検査
CT検査は、X線の照射器と検出器が対になって患者さんの体の周りを高速で回転し、体内の断面図を撮影する検査です。
CTを使って心臓や冠動脈の状態を調べるのが冠動脈CT検査です。
CT検査の際には、血管をはっきりと映し出すために造影剤を点滴して撮影されます。
造影剤は安全性の高い薬ですが、まれに吐き気などの副作用が起こることがあります。
また、造影剤にアレルギーのある方は、この検査を受けることができません。
撮影自体は10秒程度で終わりますが、準備や検査後の処置などを入れると検査には1時間ほどかかります。
RI検査
どんな検査
RI検査は、ラジオアイソトープを利用した検査で、たとえば「ヨードは甲状腺に取り込まれやすい」といった具合に、
ある臓器が特定の物質を取り込みやすい性質を利用します。
検査をする臓器に合わせて、その臓器に取り込まれやすい物質にラジオアイソトープを”目印”としてくっつけた放射線医薬品を点滴します。
そして、一定の時間がたってその臓器に放射線医薬品が充分取り込まれたところで、ガンマカメラで体外に放出される
放射線の量や位置を撮影し、コンピューターで処理して画面に映し出します。
体への負担
放射線医薬品を点滴すると聞くと、放射線の影響を心配する人もいます。
しかし、検査で使うラジオアイソトープはごく微量で、数日で体内から消えるため、体への影響はほとんどありません。
心臓カテーテル検査
どんな検査
心臓カテーテル検査は、狭心症・心筋梗塞が疑われる際に行われる色々な検査のなかでも、最終検査として行われる検査です。
検査の結果を見て、薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術等の治療を決定します。
心臓カテーテル検査は、冠動脈の状態を詳しく調べるために行われます。
通常、血管はX線検査では映し出す事ができません。そこで、足のつけ根やひじ、手首の動脈からカテーテルという細い管を挿入し、
血液の流れに逆流するように血管をさかのぼり、冠動脈の中まで送り込みます。
冠動脈に到達したところで、造影剤を血管内に注入し、X線で撮影することで、冠動脈の形や内部の状態を正確に映し出せます。
調べることのできる病気
冠動脈にどこの部分が狭くなって狭心症を起こしているのか。
冠動脈にどこの部分が詰まって心筋梗塞を起こしているのかといったことを確認できます。
体への負担
心臓カテーテル検査にかかる時間は、30分から1時間程度です。ただ、カテーテルを挿入した場所から出血する危険、
造影剤のアレルギーによる危険がありますので、入院して行うのが一般的です。
足の付け根では検査後5時間から6時間安静が必要なのに対し、ひじは1時間程度、手首ではほとんど安静にする必要がありません。